入れ歯の種類と選び方|保険・自由診療の違いやお使いの入れ歯の調整まで

歯を失ってしまったとき、毎日の食事やおしゃべりをこれまで通りに楽しむための大切な選択肢となるのが「入れ歯」です。
入れ歯をつけると見た目が気になるのではないか、うまく噛めないのではないかといった不安を感じている方や、すでに使っている入れ歯が痛い、すぐに外れてしまうとお悩みの方もいらっしゃるかもしれませんね。
入れ歯の種類はさまざまで、新しく製作するだけでなく、お使いのものを丁寧に修理・調整していくことでお一人お一人のお口に合わせやすくなるのが特徴です。
今回は、お口の状態に合わせた入れ歯の選び方の基本をはじめ、保険診療と自由診療の違いについて詳しくご紹介します。
入れ歯にまつわるお悩みを解消するためにも、最後まで読んで参考になさっていただけましたら幸いです。

菅野 岳志 院長
経歴岩手県立大船渡高等学校
日本大学松戸歯学部
日本大学松戸歯学部附属病院臨床研修医修了
日本大学大学院松戸歯学部歯学研究科組織学専攻修了
医院名:かんのデンタルオフィス
所在地: 〒192-0073 東京都八王子市寺町46 ラグゼナ八王子寺町 1F
知っておきたい「入れ歯の種類」とお悩み別の「選び方」

入れ歯を選ぶときにまず基本となるのは、ご自身の「失った歯の数や場所」に合わせることです。
入れ歯は、お口の中の状態によって大きく2つの種類にわかれます。
残っている歯がある場合は「部分入れ歯」
何本か歯が残っている場合に使用する入れ歯が「部分入れ歯」です。
歯を失った部分の歯ぐきを補う土台と人工の歯、および残っている自分の歯に引っかける「クラスプ」と呼ばれる金属のバネで構成されているのが特徴です。
1本だけ歯を失った場合から、多くの歯を失った場合まで幅広く対応でき、残っている大切な歯が移動してしまうのを防ぐ役割も持っています。
部分入れ歯を検討される際、見た目や使い心地についてお悩みを抱えられることが少なくありませんが、当院ではそれぞれに合わせた丁寧なアプローチを行っています。
金属のバネが見えてしまうのが気になる場合
部分入れ歯はお口を開けたときにバネが目立ってしまうのではないか、というご不安をよくうかがいます。
当院ではバネに代わって歯ぐきと同じピンク色の素材を使用する、見た目の自然さに配慮した設計をご提案することが可能です。
バネをかけている自分の歯への負担が心配な場合
特定の歯にばかり負担が集中すると、その歯の寿命を縮めてしまう原因になりかねません。
ほかの残っている歯にかかる力をバランスよく分散させることで、ご自身の歯への過度な負担を軽減するよう工夫できます。
すき間に食べものが挟まって痛む場合
入れ歯と歯ぐきの間に食べものが挟まると、お食事の楽しさが半減してしまいます。
一人ひとりのお口の粘膜の形に合わせて土台の縁を精密に設計し、食べものが入り込みにくい工夫を行います。
すべての歯を失った場合は「総入れ歯」
すべての歯を失ってしまった場合に使用する入れ歯が「総入れ歯」です。
「床(しょう)」と呼ばれるピンク色の大きな土台の上に人工の歯が並んでおり、この土台部分をお口の粘膜(歯ぐきや上顎)にぴったりと吸着させて固定します。
歯が1本も残っていない状態でも、顎(あご)の形に合わせて精密に作ることで、噛む機能を補うことができます。
総入れ歯は、お口の粘膜との密着度が大切です。
お悩みに対しても、当院では以下のような取り組みでお口になじみやすい総入れ歯をめざします。
おしゃべりや大きな口を開けたときに外れやすい場合
お口を動かしたときに入れ歯が浮いてしまうのは、非常にストレスがかかるものです。
型取りの際に、唇や頬の動くスペースまで丁寧に記録することで、お口を動かしても密着度を維持しやすい仕上がりをめざせます。
グッと噛みしめると歯ぐきにあたって痛む場合
しっかり噛めない原因の多くは、特定の場所に不自然な力が集中してしまっていることにあります。
特定の場所にばかり強い圧力がかからないよう、かみ合わせのバランスを細かく測定して調整を行います。
上顎が大きな土台で覆われて食べものの熱が伝わりにくい場合
保険診療のプラスチック製入れ歯は、強度を保つために土台が厚くなり、熱を感じにくくなる傾向があります。
熱をよく通す薄い金属を土台に使用することで、食べものの温度を感じやすくし、お食事をおいしく味わえるようサポートできます。
入れ歯とはどんな治療?

入れ歯は調整しながら使いやすくしていくものですが、そもそも、なぜ入れ歯を使う必要があるのでしょうか。
入れ歯とはどのような治療でどのような役割があるのか、改めて確認してみましょう。
入れ歯は、人工的に作った歯と、それを支える土台から構成される義歯です。
入れ歯は失った歯の機能を補うために広く用いられています。
また、「噛めること」や「食事がしやすいこと」は、お口の中の健康だけでなく、全身の健康にも関係するため、適切に調整された入れ歯を使用することが重要です。
入れ歯の役割は?どのように生活に関わる?
入れ歯は、見た目を整えるだけのものではありません。
歯が抜けた状態のままにしていると、周りの歯が動いてかみ合わせのバランスが崩れ、ほかの歯へ負担がかかる原因になることがあります。
1本〜数本の歯を失った場合の対応
歯を失って早い段階で適切な入れ歯を入れることで、残っている歯の移動を防ぎ、適切なかみ合わせを維持しやすくなります。
多くの歯を失った場合の対応
多くの歯を失った状態でも、お口に合った入れ歯を入れることで、しっかりと食べものを噛み砕くことができるようになり、胃腸への負担を軽減することが期待できます。
お口に合う入れ歯を早めに使用するメリット
歯を失ったまま過ごす時間をできるだけ短くし、お口に合う入れ歯を早めに取り入れることは、残っている健康な歯を守ることにつながるのです。
しっかりと噛める状態を維持することで、お口の筋力や健康を保ちやすくなり、将来いつまでもおいしい食事を楽しむための大切な土台となります。
選択肢を広げるために~保険診療と自由診療の入れ歯の違い~

ご自身に必要なのが部分入れ歯か総入れ歯かがわかった上で、次に考えるのが「どのような素材や工法で作るか」という選択です。
それには、公的医療保険が適用される「保険診療」と、全額自己負担となる「自由診療」の2つの方法があります。
保険診療の入れ歯
保険診療で作る入れ歯は、費用負担を抑えて一定の機能を回復できる点がメリットです。
保険診療のルールに沿った基準を守って製作され、比較的短い期間でできあがる傾向ですが、実際の製作にかかる期間はお口の状態や通院回数、歯科医院の体制により異なります。
一方で、使用できる素材がプラスチック(レジン)に限られるため、強度を保つためにある程度の厚みが必要になり、お口の中での違和感や食べものの温度の感じにくさにつながることがあります。
自由診療の入れ歯
自由診療で作る入れ歯は、費用が全額自己負担となるものの、保険診療に比べて、使用できる素材や治療の工程の選択肢が広がります。
一人ひとりのお口の形や、噛むときの顎の動きをより精密に再現しやすいため、見た目が自然で、違和感が少なく、しっかりと噛める入れ歯作りをめざすことが可能です。
おもな入れ歯の種類とそれぞれの特徴
それぞれの特徴を比較表にまとめました。ご自身の生活スタイルや希望に合ったものを選ぶための参考にしてください。
| 種類 | 診療区分 | 特徴とメリット |
|---|---|---|
| レジン床義歯 | 保険診療 | プラスチック製のため費用を抑えられますが、強度を保つために厚みが必要となり、違和感を覚えたり温度を感じにくくなったりすることがあります。部分入れ歯では金属のバネが目立ちやすい傾向があります。 |
| ノンクラスプデンチャー | 自由診療 | 部分入れ歯の金属のバネを無くし、歯ぐきと同色の特殊な樹脂で固定します。見た目が自然で周囲に入れ歯と気づかれにくく、軽くてお口にやさしくフィットしやすいのが特徴です。 |
| 金属床義歯 | 自由診療 | 主要な部分にチタンやコバルトクロムなどの金属を使用します。薄く作れるためお口が広く感じられて話しやすい、熱をよく伝えるため食事をおいしく味わいやすい、という特徴があります。 |
自由診療の入れ歯を検討するメリット
自由診療の入れ歯は、お食事や会話といった、毎日のなにげない瞬間の心地よさをより高めたい場合に適した選択肢です。
ノンクラスプデンチャーで自然なお口元に

お友達とおしゃべりをしたり、写真を撮ったりするときに、お口元の金属が気になって思いきり笑いにくいというお悩みを持つ方は少なくありません。
ノンクラスプデンチャーであれば、バネに相当する部分も歯ぐきと同じピンク色のため、見た目が気になりにくくなることで、笑顔や会話をより楽しみやすくなるでしょう。
金属床義歯で食事の「温かさ」「冷たさ」を楽しむ

私たちは、食べものの味だけでなく温度からもおいしさを感じ取っています。
保険診療のプラスチック製入れ歯では熱が遮断されがちですが、金属床義歯はお茶の温かさや、お食事のみずみずしい冷たさが上顎に伝わりやすくなります。
また、感じ方の個人差はありますが、薄い入れ歯の設計のため、おしゃべりがしやすく、滑舌がスムーズになりやすい点も特徴です。
お口にフィットする入れ歯で毎日の食事をおいしく

高齢期の歯の健康を維持し、しっかりと噛んで食べることは、身体全体の栄養状態を良好に保ちます。健康寿命を延ばすためにも重要なことといえるでしょう。
食べものをうまく噛み砕けない状態が続くと、消化器官に負担がかかるだけでなく、やわらかいものばかりを好むようになり、栄養の偏り(低栄養)を招くリスクなどが指摘されています。
お口にぴったりとフィットする入れ歯を手に入れることは、噛む機能を補うだけでなく、毎日の食事をおいしく食べられる喜びを大切にし、笑顔で明るい毎日を過ごすことにつながります。
当院では、患者さんのご要望やお悩みをじっくりとうかがい、一人ひとりに適した治療プランをご提案いたします。
新しい入れ歯のご相談はもちろん、今お使いの入れ歯の調整や修理、あるいは残っているご自身の歯を守るためのメンテナンスまで、丁寧に対応いたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。




